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天木直人『いまこそマンデラの「和解」精神が求められる』

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人類が、暴力の歴史から抜け出すためには。
以下、天木氏のブログより。
 
 
 麻生失言の批判記事が溢れるなかで、8月2日の毎日新聞に注目すべき記事が掲載されていた。
 麻発失言にいち早く噛み付いたユダヤ系人権団体サイモン・ウィーゼンタール・センター(本部・米ロサンゼルス)がホロコースト(ユダヤ人大虐殺)に関与してまだ訴追されていない戦争犯罪人の情報提供を呼びかける一大キャンペーンをドイツで開始したという記事だ。
 私が注目したのはそのキャンペーンを呼びかけている同センターのイスラエル所長が7月23日にベルリンで行った記者会見で述べた次の言葉だ。
  「戦後は別の人生を歩み、既に年老いた人を訴追することに意味があるのか、とよく聞かれる。だがおぞましい大量殺人の罪は時の経過で消えるものではない。高齢でも出廷に耐えられるなら、必ず法の裁きを受けさせる」と強調したという。
 これを要する、一度犯した罪は未来永劫、これを許さず、非難し、責め続けるということだ。
 その目的達成の為に、使えるものはすべて使って自らの正当性を主張する。
 しかし、世界中のあらゆる被害者たちが、このユダヤ犠牲者と同じ事を行なえばどうなるか。
 そこに残るのは永遠の憎しみ合いでしかない。
 そして犠牲を経験した国がすべて国策としてそのような言動を国民に許し、支持したとすればどうか。
 終る事のない国家間、民族間の攻撃と反撃の応酬である。
 それと対照的なのがマンデラ南アフリカ大統領が示した「和解」精神である。
 南ア白人の人種差別と弾圧から受けた南ア黒人たちの犠牲とホロコーストの犠牲のどちらがより大きかったか、などという比較は無意味だ。
 南ア黒人たちが受けた犠牲もまた、南ア黒人たちにとっては永遠の憎しみに違いない。
 それを知ってなおマンデラは南アの黒人たちに「和解」を求めた。
 当初、多くの黒人犠牲者たちとその家族は、それに反発した。
 しかし最後はマンデラに従った。
 いま中東でイスラエルとパレスチナの和平交渉が開かれている。
 しかし、これは今までの中東和平交渉がそうであったように、決して成功しないだろう。
 ホロコーストの犠牲になったユダヤ人国家であるイスラエルが、今度はパレスチナ人を差別、人権弾圧し、ホロコーストを繰り返している事に気づかないからだ。
 犠牲を永遠に忘れないユダヤ人が、パレスチナ人たちもまた同じ恨みを抱いている事に気づかないからだ。
 麻生失言の批判ばかりをメディアは取り上げる。
 しかしシオニズムという他者を許さない政治イデオロギーについて触れるものは皆無だ。
 それと対極的な「和解」の重要性を説くものは皆無だ。
  「「和解」こそが人類共存の最後の砦である。
 いまほどマンデラのような指導者の再来が望まれる時はない(了)
 
 
                            ・・・以上・・・
 
 
憎しみを捨てるのは難しいでしょうが、立場にこだわっている限り、より良き世界に進むことは出来ないでしょう。他者と和解できる寛容の精神を持つことが、暴力の支配を終わらせる道なのだと思います。
 

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