マスコミのアセアンサミットのニュースは全くピント外れということでしょう。、このままでは日本はアジアの孤児になってしまうのではないでしょうか。
以下、本日の天木氏のメルマガより。
日本だけが歓迎する米国のアジア進出
今度の一連のアジアサミットをどう評価すればいいか。
それは一言でいえば、対米従属外交に終始してきた日本が、ついにアセアンまでも失ってしまったという事だ。
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今から20年前の1991年に、マレーシアのマハティール首相(当時)は「東アジア経済共同体構想」を提唱した。
これはアセアン諸国だけでは経済発展はおぼつかないから日中韓の三カ国の力を借りて東アジア地域の経済協力体を作って地域発展しようというものだった。
そして日本びいきのマハティールの念頭にあるのは日本の経済・技術力に対する熱い期待だった。
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あの時日本がマハティール構想に積極的に応じていれば今日のアジアにおける日本の立場は大きく変わっていただろう。
たとえ中国が今日のような大国になったとしても、東アジア経済共同体づくりに当初から積極的に協力した日本の主導的立場に中国は一目置かざるを得ないだろう。
しかし日本はこのマハティールの提案を拒否した。
それは米国が入るなと強く圧力をかけてきたからだ。
なぜ米国は日本の賛同を許さなかったのか。
米国の本心は、「東アジアがどのような経済協力体制を築こうとも構わないが日本がアジアの主導国となることだけは認めない」というものだった。
この米国の本心を私に教えてくれたのは三井物産のマレーシア支店長(故人)であった。
歴代の駐マレーシア日本大使よりもマハティールが信頼し、心を許した日本人だった。
その支店長にマハティールが話したという。
なぜ米国はそれほどまでに私の構想に反対するのかと米国要人に尋ねたところ、その要人がマハティールにそう言ったという。
その時マハティール首相は米国の度し難い日本に対するう不信を感じたという。
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それから20年たって今や米国にとっては当時の日本が中国なのだ。
米国は中国が主導する東アジア経済共同体は許さないのだ。
少なくとも米国抜きの東アジア経済協力体制は認められないのだ。
米国が最近になって急に東アジアに関与してくるようになった理由はそこにある。
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誰がどのように強弁しようともアジアはアジアだ。本心では米国を歓迎はしない。ましてや米国がアジアで主導権を握ることなどできない。
中国はそれを知っている。
米国の煽る中国脅威論に乗らないように、中国はアジア諸国に対し周到な飴と鞭の政策を進めるだろう。
アジア諸国は中国の脅威は感じても中国と敵対することはない。ましてや日本のように中国よりも米国につくなどという国はない。対米従属の韓国でさえ中国の前には沈黙する。
日本だけだ。手放しで米国のアジアへの関与を歓迎し、日米同盟はアジアの公共財だ、などというピント外れのたわごとを言っているのは。
もはやアセアン諸国は日本の事など念頭にない。中国と米国が敵対することのないように願うだけだ。
かつてアセアンは日本にとっては最大の援助供与地域であり日本の影響力を当然視していた地域だ。
1977年に福田赳夫首相がアセアンを訪問した時は、日本は軍事大国とならず心と心の触れ合う信頼関係をアセアンと構築すると謳って(いわゆ福田ドクトリン)アセアンに歓迎された。
いまでは米国の使い走りのようになって中国の軍事大国化をけん制するばかりだ。
アセアンはそんな日本をうっとうしく思っているだろう。
もはや日本はアセアンさえも失ってしまったということだ。
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