余りにも不条理な現実!
以下、天木直人氏の11月19日のメルマガより抜粋させていただきます。
『パレスチナ状態になってしまったシリア』
日本は中東のことなど関心を持たないからほとんどメディアが取り上げないが、パレスチナとシリアが地獄のようになっている。
パレスチナはガザがエジプトとの間のトンネル封鎖で陸の孤島となって、人々がライフラインを絶たれて久しい。
その一方でイスラエルは入植という名の占領政策を強行して憚らない。
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そしていまシリア国民がそのパレスチナ人のように、世界に見放されたまま地獄の中に突き落とされて苦しんでいる。
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シリアで何が行なわれているかを忘れないように、私は8月28日の朝日新聞の切り抜き記事をいつも手元に置いている。
その記事は安倍首相がカタールのドーハでタミム首相と会談した時に語った言葉が掲載されている記事だ。
「シリア情勢の悪化の責任は、暴力に訴え、無辜の人命を奪い、人道状況の悪化を顧みないアサド政権にある。アサド政権は道を譲るべきだ」
私が安倍首相の外交でただひとつ賛同できる言葉である。
しかしその後安倍首相は一切シリア情勢を語ることはない。
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あの時、アサド政権を支えたロシアのプーチン大統領が評価され、アサドを排除しようとしたオバマ大統領が悪者にされた。
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そのアサド政権は化学兵器廃絶を受け入れることと引き換えに免責され、化学兵器の廃絶もままならないまま次期選挙に出馬して居直ろうとしている。
オバマ大統領の誤りは武力攻撃を口にして、それが出来なかったことではない。
化学兵器の使用がレッドラインだと言ったことだ。
あの時、国民を武力で弾圧する事こそレッドラインを踏み超えることだと言っていれば、武力攻撃をしてもしなくても、シリアはアサド政権なき後の民主選挙が国際監視の下で行なわれる事になっていただろう。
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国連は機能せず、国際政治は軍事大国間の駆け引きですべてが決まる。
憲法9条を唱えるだけでどうして日本を守る事ができるのかという高笑いが聞こえてきそうだ。
それに対する反論は護憲論者からはまるで聞こえてこない。
日本は平和を語る資格は無い(了)
編集・発行:天木直人
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