「8月25日(土) 第1回、脱原発アクション・デー デュッセルドルフ」において、8年の歴史のある日本の脱原発グループ「再処理とめたい!首都圏市民のつどい」さんと交換メッセージを行いました。
「原発・核燃とめようかい(福島和夫さん)」からお話を頂き、私たちからのメッセージを日本で読み上げて頂き、8月25日の取り組みがデュッセルドルフでの取り組みと共同して行われていることを参加者のみなさんに伝えて頂いたものです。
下記、Bontakaからのメールと、読み上げていただきました交換メッセージの全文です。
「原発・核燃とめようかい」
福島和夫様
このたびは、日本から私たちの運動への御声援を頂き、メッセージ交換が出来ますこと、
福島和夫様
このたびは、日本から私たちの運動への御声援を頂き、メッセージ交換が出来ますこと、
大変心強く、深謝いたします。
添付を作成いたしましたのでご査収下さい。
長い歴史のある福島様のグループでは良くご存知の事も多かったかと心配しておりますが、ドイツの脱原発は、歴史的にも道は決して平坦ではなく、市民運動や政策、脱原発をバックアップする再生可能エネルギーの法制化、エネルギーの多角化。多くの日本人のドイツ電気輸入に対する誤解など、述べたいことはいくらでもあります。
文中で、チェルノブイリについて一言だけ触れていますが、あまりにも長くなってしまうので割愛したその背景には、故郷を永遠に去らざるを得なかった人々に対する、ドイツ人の深いシンパシーがあります。
ドイツ・ジャーナリスト梶村氏が
「フクシマが日本社会に問いかけているもの」
で指摘されていますが、ドイツは敗戦で国土の四分の一にあたる領土を喪失しており、そこから1200万ものドイツ人が追放されました。これは敗戦後の人口の20%にあたります。
チェルノブイリは彼らの、この歴史体験の痛みに触れ、「二度と故郷喪失はごめんだ」と立ち上がったドイツ市民が脱原発を実現した陰の大きな力となっていること。これらの人々と彼らの子弟が、全国の反原発運動の積極的な担い手には多いこと。
「つまり、市民の戦争での加害認識が、被害認識に裏打ちされ、それがもたらす「犠牲者を哀悼する能力」が、チェルノブイリとフクシマで発揮されたからであるといえる。」
「つまり、市民の戦争での加害認識が、被害認識に裏打ちされ、それがもたらす「犠牲者を哀悼する能力」が、チェルノブイリとフクシマで発揮されたからであるといえる。」
といった背景です。
今後とも、皆様と連携を取って行きたく、生まれたばかりのヨチヨチ歩きのグループですが、どうか宜しくお願い申し上げます。
以下、交換メッセージ
このたびは、日本から私たちの運動への御声援を頂き、大変心強く、深謝いたします。
「再処理とめたい、首都圏市民のつどい」の皆様、我々もドイツから脱原発運動を行って行きます。
ご存知のようにドイツは2002年、社会民主党と緑の党の連立政権時に「原子力法」を改正。原発の平均稼働期間を32年と定め、2022年を目処に全廃する方針を決めました。
2010年12月にCDU/CSU (※1)と自由民主党の連立政権は、稼動年数を最長14年延長する「原子力法」改悪を行いましたが、
311福島第一原発の事故を受け、チェルノブイリの惨禍を記憶しているドイツでは、各地で反原発デモが頻発。2011年3月14日にメルケル首相は稼動年数延期の凍結を発表。
2011年3月27日に行われたドイツ南西部バーデン=ヴュルテンベルク州の州議会選挙ではCDU/CSUは歴史的大敗をし、緑の党が躍進。ドイツ史上初の緑の党の州知事が誕生。
これら国民の明確な意思を迅速に受け、国内で重大事故が発生していないにもかかわらず、2011年5月30日、メルケル首相は「2022年までに国内17基の原発を全て閉鎖する」方針を示し、記者会見では「福島(第1原発)の事故は、これまでとは異なる方法でリスクに対処する必要性があることを教えてくれた」「われわれが再生可能エネルギーの新たな時代を切り開く先駆者になれると信じている」と述べています。
福島第一原発の事故から3ヶ月後、2011年6月6日、第13次原子力法改正案が閣議決定され、「国内17基のうち、1970年代に稼動を開始した7基と2007年の事故で停止していた1基を再稼働しない事。残り9基は2015年、2017年、2019年に各1基、2021年、2022年に各3基を段階的に停止。」としました。同法案は同年6月30日に連邦議会、7月8日に連邦参議院を通過して改正されました。
同時に閣議決定された「再生可能エネルギー法」は電力供給に占める再生可能エネルギーの割合を2020年に35%、2050年に80%を目標とし、「エネルギー経済法」ではスマートメーターの設置等、送電網については別途整備の迅速化の為の法律制定など、脱原発との車の両輪として法制化されています。
それでも高レベル放射性廃棄物の恒久的な貯蔵施設をどこに確保するかはまだ結論が出せていません。
ドイツでは電力市場が自由化されています。巨大電力会社が地域独占している日本と違い欧州電力会社同士も、消費者も、より安い、あるいは安全な電気を求めて売買をします。
「ドイツは原発を止めてフランスから電気を買っている」と日本の政官学経と一体となったマスコミでは喧伝されているようですが、ドイツの輸入量は全電力消費量の5%に過ぎず、輸入以上に電力の輸出をしている電力輸出国であり、全ての原発を止めても国内電力供給が逼迫しない構造作りを進めて来ました。
一方フランスは、58基の原発を持ち、原子力が80%の電気をまかないます。オール電化を政策的に進めたフランスは、冬季には国内需要をまかなえ無い迄に破綻しています。夏の渇水のときには、原子炉の冷却に使う川の水が少なくなり発電を止めざるを得ない状況になったり、冬の暖房需要期にはドイツなどから電力輸入が必要です。
ドイツは1976年の省エネ法以来、断熱とエネルギーの多角化を進めて来ました。中でも再生可能エネルギーの急速な成長が大きく、例えば太陽光発電による発電量は2012年5月25日に2,200万キロワット時に達しました。これは、日中の電力需要のほぼ半分を賄うことが可能で、原発約20基分に相当。単日としては世界最高記録となります。
国内で稼動する洋上・陸上の風力発電は、2012年6月末の時点で2万2644基。総発電容量は、3万16メガワットに上昇しています。現在2割弱が再生可能エネルギーでまかなわれており、先に述べたように、311福島を機に、2020年までにはそれを35%とする事が法律で定められています。日本での再生可能エネルギーは1%程度です。
このような背景や、以下に述べるガブリエル連邦環境大臣(当時)の会見(※2)が一般に知られているドイツ人と、世界最悪レベル7の原発事故を起こしてもなお、原発が無ければ電気が足りない、電気代は値上げされると広報され、推進派の町長を当選させてしまう日本人には、大きな情報格差を感じます。
今ここで、再稼働を停めなければ、地震国日本が次ぎなる大事故を起こすのは、多くのドイツ人にとっては火を見るより明らかです。
日本政府は、福島原発事故の検証もほとんど行わないまま、大飯原発の再稼動に踏み切りました。一方、日本では、意見聴取会アンケートの結果でも76.5%もの人が原発ゼロを訴えています。この国民の声が原発事故から1年5ヶ月以上たった今でも、まったく政治に反映されない現状を憂います。
私たちは、デュッセルドルフ市およびその近辺に在住する日本人です。このたび、空前のうねりとなって広がる脱原発の動きを、ここドイツからも応援したく、止むに止まれぬ気持ちから「Atomkraftfreies Japan ̶SAYONARA GENPATSU Düsseldorf」を結成いたしました。2012年7月30日、たった5人ではじめましたが、現在もまだ20人の小さな手弁当グループです。
このActionを初め、私たちは「8月25日、脱原発デー」のチラシをデュッセルドルフで約1000枚手渡しました。一部推進派を除く多くのドイツ人はチラシを貰って「ありがとう」と御礼を言い、「すばらしい事だ!」と声をかけてくれます。
一方、ドイツに来ても日本の新聞を読み、日本のテレビを見て、忙しい日常を送る多くの日本人には、再稼働は対岸の火事なのか?と思える事も少なくありません。チラシを渡すと暗い表情で「推進派ですから」「原発止めたら生きていけないでしょう!」「そんなきれいごとじゃ、生きていけないですよ(怒)」と言って行かれた方もおられました。
当地には7000人以上の日本人が住んでいますが、関連企業も含めて約450社の日系企業が支社を置いている為、いわば小さな原子力ムラが生じているとも言えます。
それでも少なからぬ好意的な日本人からのメッセージを頂いておりますし、デュッセルドルフ史上初めての、日本人を中心とした脱原発運動を当地で起こし、ドイツ在住の日本の方々、多くのドイツをはじめとする海外の友人・知人の力も借り、私たちの声が少しでも日本に届くようにしたいと思っています。さらに、この活動が、パリ、ロンドン、ニューヨークなどの在留邦人の動きとして広がり、海外から国内の脱原発運動を後押しできたら、こんな嬉しいことはありません。
今秋にはデュッセルドルフにてデモ行進を予定しております。
今後とも皆様と連携を取って行きたく、生まれたばかりのグループですが、どうぞ宜しくお願い致します。
<補注>
CDU/CSU (※1):
Christlich-Demokratische Union DeutschlandsとChristlich-Soziale Union in Bayern e.V.,の略。キリスト教民主・社会同盟。
ガブリエル連邦環境大臣(当時)の会見(※2);
2006年1月5日、社会民主党のジグマール・ガブリエル連邦環境大臣(当時)は、記者会見で「今、求められているのは、エネルギー供給の安全保障、価格の安定、気候保護の3つを目標とする、エネルギー政策改革である。原子力エネルギーの延長は、連立協定の範囲外である。ドイツはウランの100%を輸入に依存しており、エネルギー供給の安全保障、輸入依存度の観点から問題となる。また、ウランは枯渇性の資源であり、その埋蔵量は20年~65年分、現在の利用計画からすると、現実的には30年~40年分と思われる。今後、希少になり、価格も急速に上昇するおそれのあるエネルギー源に、大金を投資することはできない。早急に取り組まなければならないのは、エネルギーの効率化である。ドイツは、エネルギー効率の分野で世界のチャンピオンになろうではないか」と述べています。
2007年4月、ドイツ連邦環境省の委託を受け、エコ研究所は原子力を含む様々な発電のCO2排出とコストを調査。「ドイツの原子力発電所は、キロワット時あたりCO2を31~61g排出する。風力発電のCO2排出量は23g、水力は39gと少ない」「原子力発電のコストは、発電の中では平均的な金額だが、外部費用は加算されておらず、放射性廃棄物の費用は全く加算されていない」との結果を受け、ガブリエル環境大臣(当時)は、「原子力発電は安く、CO2を排出しないという神話は一掃すべきだ。原子力発電は、地球温暖化対策の選択肢とはならない」とコメント。
以 上
(文責:Bontaka)
私たちは活動を続けていきます。秋には日本の脱原発を訴えるデモ行進を
デュッセルドルフで計画中です。
デュッセルドルフで計画中です。
ご一緒に次の一歩を踏み出してみませんか!
Atomkraftfreies Japan ̶ SAYONARA GENPATSU Düsseldorf
発起人:藤井 隼人・フックス 真理子・Bontaka
sayonaragenpatsu@hotmail.com
発起人:藤井 隼人・フックス 真理子・Bontaka
sayonaragenpatsu@hotmail.com