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科捜研 鑑定デッチ上げで再注目される毒カレー事件

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科捜研まで証拠を捏造していたとなると、 この国の冤罪被害者はどこまで広がっているのだろうか。毒カレー事件は、公判中から弁護団より証拠能力に疑義が出されていたようだが、裁判所は、再審請求が出たら応ずるべきだろう。
以下、日刊ゲンダイ様より。
 
 
 
<再審請求の行方はどうなる>
 和歌山県警に激震が走っている。捜査で押収した証拠品を分析する県警科学捜査研究所(科捜研)で、男性主任研究員(49)による鑑定結果の捏造(ねつぞう)が発覚したからだ。主任研究員は、別の事件の鑑定データを流用したり、鑑定書に所長の公印を勝手に押したりする手口で鑑定結果をデッチ上げた。県警の捜査で、10年5月~12年6月の間に少なくとも計8回の捏造が確認されたという。
 捏造鑑定書が作られていたのは、交通事故や無理心中、変死などの事件。虚偽公文書作成・同行使容疑で捜査している県警は、これらの鑑定書について「内部の説明資料」「鑑定自体には問題なし」と平静を装っているが、とんでもない話である。
「科捜研の鑑定結果は、裁判で有罪、無罪を判断するキメ手となる“超一級の証拠”です。その証拠を捏造なんて前代未聞。郵便不正事件や小沢事件で発覚した検察の捏造調書と同じか、それ以上にタチが悪い。主任研究員は『見栄えのよい資料を作りたかった』と出来心を強調しているが、証拠品に対する意識が低過ぎる。主任がこんな認識では、組織全体で捏造が常態化していたとみられても仕方ありませんよ」(元検事の弁護士)
 問題なのは、この捏造発覚が過去の重大事件にも影響を及ぼしかねないことだ。和歌山といえば、思い出すのは、98年7月の「和歌山毒カレー事件」だ。この事件では和歌山県警科捜研が当初、原因毒物を「青酸化合物」と誤鑑定する“大失態”を起こしていた
「『ヒ素』と特定したのは、警察庁科学警察研究所(科警研)で、事件発生から9日後でした。この初動捜査の遅れが事件解明を困難にさせ、捜査の迷走を招いたのは間違いないでしょう。そのうえ、公判では、弁護人が『鑑定資料の収集、保管の過程がズサンで不透明』『保管や受け渡しの際の状況が、写真などの客観的証拠で保全されていない』と科捜研の不手際を批判しました。結局、事件は09年5月に最高裁で林真須美の死刑が確定=再審請求中=しましたが、状況証拠だけで死刑判決となった異例の事件だけに、今回の科捜研の捏造事件はカレー事件にも波紋が広がるかもしれません」(司法ジャーナリスト)
 問題の主任研究員は、85年に技術職員として採用されたというから、カレー事件当時も在籍していたことになる。
 今回の捏造発覚で、林真須美の弁護団は再審請求の攻勢を増すだろう。今ごろ、和歌山県警は頭を抱えているんじゃないか。
(日刊ゲンダイ2012年8月17日掲載)

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