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Channel: 無心
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「江」にみる戦争と平和

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今年は、大震災、原発事故があり、改めて人の命について思いをめぐらすことの多い年となりましたが、また、今日、あの太平洋戦争が始まった日を迎えました。
 
私にとって、今年、戦争について一番考えさせてくれたのは、NHK大河ドラマ「江」です。余り視聴率は良くなく、歴史的事実と少し違う、という批判もあるようですが、ライターである田淵さんの人間観、歴史観、といったものが「戦争と平和」のテーマの下にしっかり打ち出されていて、当初、保奈美さんやりえさんといった出演者の魅力に惹かれて見始めただけでしたが、結局ほぼ全回視聴しました。
 
戦国時代の武将の家族ということで、主人公である江たち姉妹も政争の道具として扱われたり、家族との離別、死別、といった悲しい出来事の連続の人生でしたが、それゆえ、ひたすら、戦のない世を切望します。しかし、その願いは簡単に報われる筈もなく、様々な悲劇を経てやっと最後に実現します。
江も本来の自由な生き方が出来るようになり、「生きていくことは喜びそのもの」との最後のセリフとなります。
 
戦国時代を背景としつつも、基本的には良質のホームドラマであり、登場人物の描き方も多面的で、単純な善人、悪人、といった色分けもなく、秀忠を始め、明智光秀、石田光成、英次、秀頼、といった私が余り知らなかった人たちの人物像も丁寧に練り上げられていて、それぞれの魅力的な面を見せてくれました。また、親子間の愛憎の果ての和解のシーン、も感動的でした。
 
田淵さんは、前の作品の「篤姫」と今回の「江」で徳川時代の終わりと始めを主人公の女性の視点からドラマ化して見せてくれました。200年以上続いた平和な時代、様々な評価の仕方があると思いますが、戦のない世がこれほど長く続いたことは、やはり日本の誇るべき時代であり、生活者である民衆にとっても良い時代だったのでは、と思います。現在の私たちがそこから学ぶべきことも多いのだと思います。
 
現在の日本の福島原発事故への政治の対応のいい加減さに対して、女性の方達がより大きな声を上げてくれていると思います。また、その結果、現実の政治も少しずつ動かしてくれているようです。女性はやはり命や生活に敏感です。お金や権力、メンツより命を優先します。
今年の大河が「江」であったのは偶然ではなかったのかも知れません。
 
 
 

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