東電は加害企業でありながら平気でこんな酷いことを。
以下、赤旗より。
2011年7月27日(水)「しんぶん赤旗」
被害農家に「送電停止」
東電が冷酷通告
群馬・キノコ栽培 風評で収入減、滞納
東電福島第1原発事故の風評被害をうけたキノコ農家が収入を激減させ、電気料金を滞納したところ、東電側から「送電停止」の通告を受けていたことが26日、わかりました。「被害者に何をする気か」。相談を受けた農民連(農民運動全国連合会)は東電に抗議するとともに、同日、農水省に対し、緊急措置として国の「つなぎ融資」をただちに実施するよう求めました。
農水省に農民連「つなぎ融資を」
農民連によると、キノコ農家は群馬県前橋市で施設栽培しています。原発事故後、取引先から入荷を断られ、700万円以上の被害を受けました。キノコ施設を維持する電気料金も払えなくなり3カ月分、約75万円を滞納しました。
これに対して、東電前橋支社は、「払わないと送電を停止する」との通告書を農家に持ってきました。
キノコ農家から相談を受けた群馬県農民連の会員が農家とともに抗議すると、東電側は“被害補償と料金滞納は別問題”として、救済措置を拒否しています。
農水省の担当者に実情を訴えた農民連の笹渡義夫事務局長、斎藤敏之財政責任者、吉川利明事務局次長は、「東電は農家に被害を与えた自覚があるのか。ほかにも融資を断られた例もある。国の融資制度も内容がともなうようにしてほしい」と要請しました。農水省の担当者は事情を調査するとのべました。
農家と農民連は、なんとか工面した約半月分の電気料金を納入し、送電停止を猶予させるとともに、風評被害農家も対象にした国の緊急融資制度を活用するために動きました。しかし東電への損害賠償請求書類などの複雑さがあり融資のめどはたっていません。
・・・以上・・・
加害企業が被害者に何ら賠償もしないばかりか、収入を断たれた被害者にさらに金を要求するとは。
このような極悪非道を平気で行う暴力企業は、さっさと始末してもらいたいものです。
マスコミは何としても東電の味方をしたいようですが、唯一正論を語ってくれる東京新聞の社説を以下に。
東京電力福島第一原発事故の賠償法案について与野党が修正案で合意した。修正案は株主や金融機関の責任を問わないばかりか、税金投入まで盛り込んだ。これでは国民負担が一層、重くなる。
放射性セシウムで汚染された稲わらを食べた肉牛が各地で出荷停止になっているように、原発事故の被害は拡大する一方だ。巨額の賠償負担を考えれば、東電が事実上、すでに債務超過なのはあきらかである。
株式会社の原則に照らせば、破綻状態にある東電の処理は経営者と社員、次いで株主、金融機関が負担を分担しなければならない。ところが法案は当初から株式を100%減資せず、銀行の債権放棄も求めていなかった。
政府・民主党と自民党、公明党の協議でまとまった修正案をみると、問題の核心部分だった株主責任と銀行の貸し手責任は結局、事実上不問に付されている。
わずかに「機構は…原子力事業者による関係者に対する協力の要請が適切かつ十分なものかどうか確認しなければならない」との条文が追加されたが、これでは形だけだ。実質的な意味はない。
その結果、本来なら五兆円前後に上るとみられた株主や銀行の負担が、最終的には電気料金引き上げの形で国民の肩にのしかかる話になってしまった。
それだけではない。
新設する賠償機構に国が交付国債を発行して東電が必要に応じて現金化し、後で長期返済する仕組みだったが、修正案は加えて「機構に国が資金を交付できる」と改めた。つまり税金である。
これで東電は今後、どんなに資金難に陥ったとしても、交付国債の現金化だけでなく税金の直接投入で生き延びることが可能になった。絶対安心の生命維持装置を確保したも同然だ。
自民党内には「今回の措置は一時的なもので、将来は東電を破綻処理できる二段階方式」と評価する声もある。法律の施行状況を後で検討する付則が盛り込まれたためだが、こちらも形だけにすぎない。
こんな法案になったのは、既得権益を守りたい霞が関と東電、関係金融機関が菅直人政権の足元を見透かしていたためだ。市場経済の根幹を踏みにじるような妥協でお茶を濁した自民党と公明党の責任も重い。
東電の地域独占を許したままでは発電会社の新規参入も進まず、再生可能エネルギー促進という菅政権のかけ声がむなしく響く。